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EMS(電子機器受託製造)・ODMの設計のポイントとは?

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「新製品を開発したいが、自社だけではリソースが足りない」
「製造コストを抑えつつ、高品質な製品を市場に投入したい」
-国内の中小企業の経営層や製造部門の皆様は、日々このような課題に直面しているのではないでしょうか。

EMS(電子機器受託製造)やODM(Original Design Manufacturing)の活用は、これらの課題を解決し、製品開発を加速させる強力な手段となります。

しかし、その成功の鍵は、パートナー選びや製造工程だけにあるわけではありません。
最も重要なのは、製品の根幹を決定づける「設計」段階です。
設計が適切でなければ、後工程での手戻りやコスト増大、品質問題につながりかねません。

そこで本記事では、EMS・ODMを活用する中小企業の皆様が、失敗なく製品開発を進めるために不可欠な「設計」のポイントを徹底解説いたします。

なぜEMS・ODMにおける「設計」が重要なのか?

EMS・ODMを成功させる上で、設計は単なる「図面を描く作業」以上の意味を持ちます。
特に中小企業にとって、限られたリソースの中で最大限の成果を出すためには、設計段階での戦略的なアプローチが不可欠です。

ここでは、その重要性を3つの側面から解説します。

後工程での手戻り防止とコスト増大の抑制

設計段階でのわずかな見落としや不備は、製造工程に進んでから重大な問題を引き起こす可能性があります。
たとえば、部品の選定ミスや組み立て順序の考慮不足は、試作段階での機能不全や、量産開始後の不良品発生につながります。
これらの問題が発覚した場合、設計変更、部品の再調達、製造ラインの調整など、多大な時間と費用を要する「手戻り」が発生します。

EMS・ODMパートナーと密接に連携し、設計の初期段階から製造性や検査性を考慮することで、後工程での手戻りを最小限に抑え、結果として開発期間の短縮とコスト増大の抑制を実現できます。

製品の品質、性能、信頼性の基盤を築くフェーズ

製品の品質、性能、そして市場での信頼性は、設計段階でその大半が決定されます。
どのような部品を選定し、どのように配置し、どのような回路を組むか。
これらの設計判断一つ一つが、製品の動作安定性、耐久性、そして最終的なユーザー体験に直結します。

たとえば、熱設計が不十分であれば製品の寿命が短くなったり、ノイズ対策が不十分であれば誤動作の原因となったりします。
EMS・ODMパートナーの持つ豊富な設計ノウハウや過去の事例を活用することで、高品質で信頼性の高い製品開発の基盤を強固にすることができます。

市場投入までのリードタイム短縮への貢献

現代の市場では、製品をいかに早く市場に投入できるかが競争優位性を確立する上で非常に重要です。
設計段階での最適化は、このリードタイム短縮に大きく貢献します。

製造しやすい設計(DFM)、組み立てやすい設計(DFA)、検査しやすい設計(DFT)を早期に実現することで、試作から量産への移行がスムーズになり、開発期間全体の短縮が可能になります。
また、供給安定性の高い部品を選定することで、部品調達による遅延リスクも低減できます。

EMS・ODMで失敗しないための設計段階のポイント

EMS・ODMを活用する上で、設計段階で特に意識すべき3つの重要な視点があります。
これらを深く理解し、設計に落とし込むことで、失敗のリスクを低減し、成功へと導く製品開発が可能になります。

生産性を高める設計(DFM:Design For Manufacturability)

DFM(Design For Manufacturability:製造性考慮設計)とは、製品の製造しやすさを考慮して設計を行うことです。
これにより、製造コストの削減、品質の向上、生産リードタイムの短縮が期待できます。

部品選定の最適化(汎用品の活用、供給安定性、コスト効率)

汎用品の活用

特定のメーカーに依存しない汎用性の高い部品を選ぶことで、調達コストを抑え、供給リスクを分散できます。
特殊部品はコスト高になりやすく、供給停止のリスクも伴います。

供給安定性

長期的な供給が保証されている部品や、複数のサプライヤーから調達可能な部品を選定することが重要です。
これにより、予期せぬ部品供給停止による生産ラインの停止リスクを回避できます。

コスト効率

部品の単価だけでなく、調達リードタイム、在庫コスト、代替品の有無なども含めたトータルコストで評価します。

組立工程を考慮した設計(部品点数削減、誤組防止、自動組立対応)

部品点数削減

部品点数が少ないほど、組立工数、部品管理コスト、不良発生リスクが低減します。
複数の機能を一体化するなどの工夫が有効です。

誤組防止(ポカヨケ)

部品の向きを間違えたり、異なる部品を取り付けたりするミスを防ぐための設計です。
たとえば、コネクタの形状を工夫して逆挿入を防ぐ、非対称な形状にするなどが挙げられます。

自動組立対応

ロボットや自動機での組立を想定し、部品の供給方法(テーピング、トレーなど)や、把持しやすい形状、位置決めしやすい構造などを考慮します。

製造設備の制約を理解した設計(基板サイズ、実装密度など)

  • 基板サイズと形状:EMSパートナーが持つ製造ラインの基板サイズ制限や、搬送・検査治具の制約に合わせて設計することで、追加コストや工程変更を回避できます。
  • 実装密度:部品の実装密度が高すぎると、はんだ付け不良や検査困難、放熱問題などが発生しやすくなります。適切な部品間隔を確保することが重要です。
  • 部品配置:部品の配置は、はんだ付けのしやすさ、熱の均一性、電磁ノイズへの影響などを考慮して行います。

品質と信頼性を確保する設計(DFA:Design For Assembly, DFT:Design For Testability)

製品の品質と信頼性は、ユーザーからの評価に直結し、企業のブランドイメージを左右します。
DFAとDFTは、この品質と信頼性を設計段階で織り込むための重要なアプローチです。

組立容易性の追求(DFA):作業者の負担軽減、組立時間の短縮

DFA(Design For Assembly:組立性考慮設計)は、製品の組立工程を効率化し、ミスを減らすことを目的とした設計です。DFMの一部として語られることも多いですが、特に「人」が関わる組立作業に焦点を当てます。

  • 作業者の負担軽減:複雑な姿勢での作業や、精密な調整を必要とする作業を減らすことで、作業者の疲労を軽減し、品質のばらつきを抑えます。
  • 組立時間の短縮:部品の向きを揃えやすくする、ネジ止め箇所を減らす、ワンタッチで結合できる構造を採用するなど、組立工程を簡素化します。

検査容易性の確保(DFT):テストポイントの配置、自動検査への対応

DFT(Design For Testability:検査性考慮設計)は、製品が正しく機能しているかを効率的かつ正確に検査できるよう、設計段階で工夫を凝らすことです。

  • テストポイントの配置:基板上の主要な回路ブロックや信号ラインに、検査プローブを当てやすいテストポイント(検査用パッド)を適切に配置します。これにより、通電検査や機能検査が容易になります。
  • 自動検査への対応:ICT(In-Circuit Test:インサーキットテスト)やFCT(Functional Test:ファンクションテスト)といった自動検査装置に対応できるよう、検査治具の設置スペースや、検査プログラムの作成に必要な情報を提供できる設計にします。

信頼性評価を考慮した設計:環境試験、耐久性試験への適合

製品が想定される使用環境で、長期にわたって安定稼働するための設計です。

  • 環境試験への適合:温度サイクル試験、恒温恒湿試験、振動試験、落下試験など、製品が耐えるべき環境ストレスを考慮し、部品選定や構造設計を行います。例えば、高温環境下での使用が想定される場合は、耐熱性の高い部品を選定し、適切な放熱設計を施します。
  • 耐久性試験への適合:スイッチの開閉回数、コネクタの抜き差し回数など、製品の寿命に関わる要素について、目標とする耐久性を満たすよう設計します。

コストを最適化する設計(DFC:Design For Cost)

DFC(Design For Cost:コスト考慮設計)は、製品のライフサイクル全体で発生するコストを最小化することを目指す設計アプローチです。
単に部品を安くするだけでなく、総合的な視点でのコスト削減を追求します。

材料費、加工費、組立費、検査費の全体最適化

製品コストは、材料費だけでなく、加工費、組立費、検査費など、さまざまな要素で構成されます。
DFCでは、これらの費用を個別に最適化するのではなく、全体として最も効率的になるよう設計を検討します。

たとえば、少し高価な部品であっても、それを使うことで組立工数を大幅に削減できるのであれば、トータルコストは安くなる可能性があります。

複雑な形状の部品を減らし、加工が容易な部品を採用することで、加工費を抑えることができます。

サプライチェーンを考慮した部品調達戦略

設計段階で、使用する部品のサプライヤー、調達リードタイム、最低発注数量(MOQ)、価格変動リスクなどを考慮します。

  • 複数のサプライヤーから調達可能な部品を優先する。
  • 市場での供給が不安定な部品は、代替品をあらかじめ検討しておく。
  • EMSパートナーの持つサプライヤーネットワークを最大限に活用し、最適な調達ルートを確保する。

量産を見据えた設計変更の抑制と早期FIXの重要性

設計変更は、開発の後期になればなるほど、その影響範囲が広がり、コストと時間が膨大になります。
特に量産開始後に設計変更が発生すると、すでに製造された製品の廃棄、部品の再調達、生産ラインの再調整など、莫大な損失につながりかねません。

そのため、設計の初期段階で徹底的な検証を行い、EMSパートナーとの密な連携を通じて、量産を見据えた設計を早期にFIXすることが極めて重要です。
これにより、手戻りリスクを最小限に抑え、安定した量産体制へとスムーズに移行できます。

EMS・ODMの設計に関するFAQ

Q1.EMS・ODMに設計を依頼するメリットは何ですか?

A1.主なメリットは以下の3点です。
1. 専門知識と経験の活用:EMS・ODMパートナーは、特定の分野に特化した設計ノウハウや、様々な製品開発で培った経験を持っています。これにより、自社だけでは得られない高度な技術や知見を活用できます。
2. 開発リソースの最適化:自社の限られた設計リソースをコア業務に集中させ、設計業務の一部または全てを外部に委託することで、開発期間の短縮や人件費の削減につながります。
3. 製造性・コスト効率の向上:製造現場の知見を持つEMS・ODMパートナーが設計段階から関わることで、製造しやすい設計(DFM)、検査しやすい設計(DFT)が実現し、結果的に製造コストの削減や品質向上が期待できます。

Q2.設計段階で特に注意すべき点は何ですか?

A2.最も重要なのは、EMS・ODMパートナーとの密なコミュニケーションと要件定義の明確化です。
製品の機能、性能、品質目標、コスト目標、納期などの要件を詳細かつ具体的に共有し、認識の齟齬がないようにすることが不可欠です。
また、設計レビューを定期的に実施し、進捗状況や課題を共有することで、手戻りリスクを早期に発見し、対処できます。
知的財産権の保護についても、契約段階で明確にしておく必要があります。

Q3.設計品質を評価する基準はありますか?

A3.設計品質を評価する基準は多岐にわたりますが、一般的には以下の点が挙げられます。
1. 要求仕様との合致度:顧客が求める機能、性能、品質、コスト、納期などの全ての要件を満たしているか。
2. 製造性(DFM):製造工程での組み立てやすさ、加工しやすさ、不良発生の少なさ。
3. 検査性(DFT):効率的かつ正確に検査できるか、テストポイントの配置は適切か。
4. 信頼性・耐久性:規定の環境下で、長期にわたって安定稼働できるか、故障率は低いか。
5. コスト効率(DFC):部品コスト、製造コスト、物流コストなど、ライフサイクル全体でのコストが最適化されているか。
これらの基準に基づき、試作評価や各種試験を通じて設計品質を確認することが重要です。

まとめ

設計は、単なる製品の形を決める工程ではなく、後工程での手戻り防止、コスト抑制、製品の品質・性能・信頼性の基盤構築、そして市場投入までのリードタイム短縮に直結する、極めて重要なフェーズです。

特に、以下の3つの視点を持つことが成功への鍵となります。

  • 生産性を高める設計(DFM):部品選定の最適化、組立工程の考慮、製造設備の制約理解
  • 品質と信頼性を確保する設計(DFA, DFT):組立容易性の追求、検査容易性の確保、信頼性評価の考慮
  • コストを最適化する設計(DFC):材料費から検査費までの全体最適化、サプライチェーン戦略、早期の設計FIX

これらのポイントを意識し、EMS・ODMパートナーと密に連携することで、貴社の製品開発はより効率的かつ高品質に進められるでしょう。

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