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【医療機器のOEM】ODM、PBとの違いとは?

医療機器の製造や開発に携わる中小企業にとって、OEM、ODM、PBの違いや使い分けを理解することは、製品開発のスピードアップやコスト削減にも直結します。
近年、日本国内の医療機器市場では、新規参入や多品種少量生産のニーズに対応するため、OEM・ODMを活用する中小企業も多いです。
この記事では、医療機器のOEM、ODM、PBの違いを中心に、それぞれの特徴やメリット、選定のポイントについて詳しく解説いたします。
医療機器のOEM・ODM・PBとは?
医療機器の分野では、自社ブランドでの製品展開にあたり、製造委託の形態として「OEM」「ODM」「PB」という3つの手法が広く用いられています。
いずれも製品を他社に委託して製造する点では共通していますが、それぞれの仕組みや役割には明確な違いがあります。
ここでは、中小企業が事業戦略やコスト面から最適な選択を行うために知っておくべき、各手法の基本と特徴を解説します。
医療機器のOEMとは
OEM(Original Equipment Manufacturer)とは、他社のブランド製品を設計図通りに製造する形態を指します。
依頼元企業が製品の設計・仕様・ブランド管理を担い、製造のみを外注するのが特徴です。
たとえば、医療機器メーカーが製品企画や設計を自社で行い、その製造部分を信頼できる外部企業に委託することで、製造コストの削減やリソースの最適化が可能になります。
医療機器のODMとは
ODM(Original Design Manufacturer)は、設計から製造までを一括で請け負う形態です。
発注企業はアイデアや要望を伝えるだけで、ODM側が設計提案から製造までを担当します。
中小企業にとっては、製品開発に必要なリソースを大幅に削減できる手法です。
医療機器業界では、技術的な専門性が求められることから、ODMパートナーの選定が成果を左右します。
設計段階から医療規格(例:ISO13485)に対応したノウハウを持つ企業に委託することで、スムーズな製品化が可能になります。
医療機器のPBとは
PB(Private Brand)は、製品そのものを他社に製造してもらいながら、自社ブランドとして市場に提供するモデルです。
厳密にはOEMの一形態と捉えられますが、流通業者や商社が製造元に委託し、自社ブランド名で販売するケースが多く見られます。
PBモデルは、ブランド戦略の自由度が高く、価格競争力のある製品をスピーディーに市場投入できる点が魅力です。
ただし、製造工程や品質管理がブラックボックス化しやすいため、製造委託先との密な連携と透明性の確保が欠かせません。
医療機器のOEM・ODM・PBを活用するメリット
医療機器の製造を外部に委託することで、自社のリソースを効率的に活用しながら、スピーディーに市場投入を図ることができます。
ここでは、OEM・ODM・PBそれぞれを活用する際のメリットを具体的に見ていきましょう。
医療機器のOEMを活用するメリット
OEMを活用する最大のメリットは、「自社ブランドのコントロールを維持したまま、製造工程を外部に委託できる」点です。
中小企業が自社製品の設計・開発を担いながら、信頼できる製造パートナーに生産のみを任せることで、設備投資や製造人員の確保といったコストを抑えることができます。
さらに、医療機器の製造には高い精度と品質管理が求められますが、製造実績のあるOEMパートナーを選ぶことで、厳しい品質要求に対応しやすくなります。
また、法規制への対応や生産キャパシティの拡張にも柔軟に対応できるため、自社のビジネスの拡大を図る上で効果的です。
医療機器のODMを活用するメリット
ODMでは、製品の設計から製造までを一貫して外部に委託できるため、開発に必要なリソースが限られる中小企業にとって大きな助けとなります。
特に、医療機器のように高度な技術・規格が求められる分野では、業界経験豊富なODMパートナーとの連携により、品質を保ちつつ開発期間の短縮を実現することが可能です。
また、ODM企業の持つ設計ノウハウや既存の技術プラットフォームを活用することで、製品化にかかるコストを大幅に削減できます。
医療機器のPBを活用するメリット
PB(プライベートブランド)を導入する最大のメリットは、「製造の手間をかけずに自社ブランド製品を展開できる」点にあります。
製品の開発・製造は全て外部企業に委託し、自社はブランディングや販売戦略に集中できるため、特にマーケティングに強みを持つ企業にとって有効な手法です。
また、PBモデルでは短期間での商品展開が可能となるため、トレンドへの迅速な対応や、既存ブランドとのシナジーを活かした販売戦略が構築しやすくなります。
特に医療機器業界では、既存製品を自社仕様にカスタマイズするPB展開が増えており、スモールスタートでの市場参入にも適しています。
医療機器OEM・ODM・PBの選定ポイントと注意点
OEM・ODM・PBといった外注戦略を成功させるためには、委託先の選定が極めて重要です。
特に医療機器の分野では、製品の品質・安全性に直結するため、価格や納期だけでなく、技術力や信頼性など多角的な視点で判断する必要があります。
依頼先の技術力・実績・品質管理体制
選定時にまず確認したいのは、医療機器の開発・製造に関する「技術力」と「実績」です。
過去にどのような医療機器を製造してきたか、業界特有の規格・法規制に精通しているかといった点は、製品の完成度やスピードに大きく影響します。
また、医療機器に求められる高い品質基準に対応できる「品質管理体制」も欠かせません。
工程管理の徹底やトレーサビリティ確保の有無、異常時の対応フローが明確に構築されているかなど、委託先の品質管理方針を具体的に確認しておくことが必要です。
ISO13485取得の有無とその重要性
医療機器の製造委託において、ISO13485の取得は非常に重要な判断基準の一つです。
これは、医療機器の品質マネジメントシステムに関する国際規格であり、この認証を取得している企業は、医療機器の製造において適切な管理体制を備えているとみなされます。
ISO13485の有無は、国内外での信頼性の証明にもなります。
特に海外市場への展開を視野に入れている中小企業にとっては、グローバル規模でのパートナー選定にも関わる要素です。
信頼性・柔軟性を評価するチェックリスト
委託先を選ぶ際には、次のような観点を基にした独自のチェックリストを作成しておくと、判断がしやすくなります。
- 医療機器分野での製造実績があるか?
- ISO13485などの規格認証を取得しているか?
- 短納期や多品種少量生産に対応できる体制があるか?
- 品質保証・トラブル対応の仕組みが整っているか?
- コミュニケーションやフィードバックの体制がスムーズか?
こうした要素を基に、候補企業の評価を行うことで、外注後のトラブルや品質不良といったリスクを未然に防ぐことが可能です。
まとめ
医療機器の製造・開発において、OEM・ODM・PBといった外注形態の違いを正しく理解することは、中小企業が限られたリソースで効率的に製品化を進め、市場での競争力を高めるうえで非常に重要です。
OEMは自社で設計しつつ製造を外注できるモデルで、ブランドの独自性を維持しやすいという強みがあります。
ODMは設計から製造までを一括で委託でき、開発力の補完やスピード重視の製品化に有効です。
PBは、製造ノウハウがなくても自社ブランド製品を展開できる柔軟な戦略として機能します。
また、これらの委託先を選定する際には、技術力やISO13485の取得状況、品質管理体制といった要素を慎重に見極める必要があります。
信頼性の高いパートナーとの連携が、製品の品質と納期の安定化につながります。
とくに、東英が提供する総合EMS・ODMサービスは、開発・設計から量産・品質保証までワンストップで対応可能であり、医療機器分野におけるパートナーとして非常に有力な選択肢の一つとなるでしょう。
今後の医療機器市場において、迅速な対応力と柔軟な製造体制を兼ね備えた外部パートナーの選定は、企業の成長戦略において欠かせない要素となるでしょう。
ぜひ本記事を参考に、自社に最適な外注戦略を検討してみてください。